体外受精治療を受けていると、「胚盤胞のグレードは4AAです」「今回は3BBでした」といった説明を受けることがありますよね。
この「4AA」や「3BB」って一体何を意味しているのでしょうか?
今回は、胚盤胞のグレードがどのように決められているのか、そしてそれが治療にどう影響するのかを分かりやすく解説します。
胚盤胞のグレード評価って何?
胚盤胞のグレード評価とは、受精後5~6日目に到達した胚(胚盤胞)の質を、形や構造を見て客観的に評価するシステムです。
世界中の体外受精施設で標準的に使われている「Gardner分類」という方法で、胚培養士が顕微鏡を使って一つ一つ丁寧にチェックしています。
なぜグレード評価が必要なの?
体外受精では、複数の胚盤胞の中から「どれを移植するか」を決める必要があります。グレード評価は、妊娠の可能性が最も高い胚を選ぶための重要な判断材料なのです。
Gardner分類:胚盤胞グレードの見方
Gardner分類では、胚盤胞を数字1つ + アルファベット2つの組み合わせで表現します。
例:4AA、3AB、5BB など
それぞれ何を意味するのか詳しく見ていきましょう。

【数字の部分】発育段階を表す
最初の数字は、胚盤胞の発育段階を1~6で評価します。

Stage 1:初期胚盤胞
- 胚の中に小さな空洞(胚盤胞腔)ができ始めた状態
- まだ構造がはっきりしていない
🥚「赤ちゃんのお部屋作り開始!」
Stage 2:胚盤胞
- 空洞が大きくなって、胚の半分以上を占めるように
- 内部の構造分化が始まる
🥚「お部屋がだんだん広くなってきた」
Stage 3:完全胚盤胞
- 空洞が胚全体を満たす
- 外側の膜(透明帯)が少し薄くなってくる
🥚「お部屋が完成!外に出る準備開始」
Stage 4:拡張胚盤胞 ⭐最も移植される段階⭐
- 胚が透明帯よりも大きく膨らむ
- 透明帯がかなり薄くなる
🥚「もうお部屋が手狭!外に出たい!」
Stage 5:孵化中胚盤胞
- 透明帯から一部が飛び出し始める
- ハッチング(孵化)過程
🥚「お部屋から顔を出し始めた」
Stage 6:孵化胚盤胞
- 透明帯から完全に出た状態
- 着床準備完了
🥚「完全にお部屋から出て、ママの子宮に向かう準備OK!」
【1つ目のアルファベット】内部細胞塊の評価
内部細胞塊(ICM: Inner Cell Mass)は、将来赤ちゃんの体になる重要な部分です。

Grade A: ⭐⭐⭐
- 密で細胞数が非常に多い
🥚「赤ちゃんの素がしっかり詰まっている!」
Grade B: ⭐⭐
- 疎で細胞数が少ない
🥚「赤ちゃんの素はまずまず」
Grade C: ⭐
- 細胞が非常に少ない
🥚「赤ちゃんの素がちょっと少なめ」
【2つ目のアルファベット】栄養外胚葉の評価
栄養外胚葉(TE: Trophectoderm)は、将来胎盤になる部分で、着床に重要な役割を果たします。
評価は内部細胞塊と同じです。

Grade A:⭐⭐⭐
- 密で細胞数が非常に多い
🥚「胎盤の素がしっかりしている!着床力に期待大!」
Grade B:⭐⭐
- 疎で細胞数が少ない
🥚「胎盤の素はまずまず、着床できるかな」
Grade C:⭐
- 細胞が非常に少ない
🥚「胎盤の素がちょっと心配、着床力に不安」
実際のグレード例とその意味
胚盤胞の評価は、上からAAからAB>BA>BB>AC/BCの順で評価されるのが一般的です。
いくつか例を見てみましょう。
4AA:パーフェクト胚盤胞
- 発育段階:拡張胚盤胞(完璧なタイミング)
- 内部細胞塊:A(赤ちゃんの素が豊富)
- 栄養外胚葉:A(胎盤の素も完璧)
「文句なしの最高グレード!」
4AB:優良胚盤胞
- 発育段階:拡張胚盤胞
- 内部細胞塊:A(赤ちゃんの素は完璧)
- 栄養外胚葉:B(胎盤の素はまずまず)
「とても良い胚盤胞」
3BB:良好胚盤胞
- 発育段階:完全胚盤胞(もう少しで完璧)
- 内部細胞塊:B(赤ちゃんの素はまずまず)
- 栄養外胚葉:B(胎盤の素もまずまず)
「十分移植に値する胚盤胞」
4BC:移植検討胚盤胞
- 発育段階:拡張胚盤胞(タイミングは良い)
- 内部細胞塊:B(赤ちゃんの素はまずまず)
- 栄養外胚葉:C(胎盤の素がちょっと心配)
「他に選択肢がなければ移植検討」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
体外受精は一回一回が貴重な機会です。
グレードの数字やアルファベットに一喜一憂しすぎず、医療チームと十分に相談しながら、あなたにとって最良の選択をしてくださいね。
何より大切なのは、希望を持ち続けること。
グレードは確率を示すものですが、あなたの胚はたった一つの大切な命の始まりなのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。