不妊治療を受けている方なら、「Veeck分類でグレード○でした」という説明を聞いたことがあるかもしれません。
Veeck分類は、体外受精における初期胚の質を評価する重要な指標の一つです。
今回は、体外受精のVeeck分類と初期胚評価の基準について調べてみました。
Veeck分類とは
Veeck分類は、1999年にアメリカの胚培養学者Lucinda Veeck博士によって提唱された、初期胚(分割期胚)の形態学的評価システムです。受精から2~3日目の胚(初期胚)を、細胞分割の状況や細胞の形態から5段階(Grade 1~5)で評価する方法として、世界中の体外受精施設で広く使用されています。
なぜ胚評価が重要なのか
体外受精では限られた数の胚の中から、最も妊娠の可能性が高い胚を選んで移植します。
Veeck分類は、この胚選択において客観的で標準化された評価基準を提供し、治療成功率の向上に貢献しています。
Veeck分類の詳細な評価基準
veeck分類にはGrade1~Grade5の5段階評価があります。
細胞が均等に分裂しているか、分割したフラグメントがないかの2点を基準に評価します。
培養2日目には4細胞、3日目には6~9細胞に分裂、かつグレード1の胚が良好とされています。

Grade 1(最良)
- 細胞分割が均等で規則的
- フラグメントが0~5%
- 細胞境界が明瞭
- 細胞質が均一
Grade 2(良好)
- 細胞分割がほぼ均等
- フラグメントが10-20%
- 細胞境界がほぼ明瞭
- 細胞質にわずかな不均一性
Grade 3(普通)
- 細胞分割にやや不均等性
- フラグメントが10-20%
- 細胞境界がやや不明瞭
- 細胞質に不均一性が見られる
Grade 4(不良)
- 細胞分割が不均等
- フラグメントが25-50%
- 細胞境界が不明瞭
- 細胞質の著明な不均一性
Grade 5(変性)
- 細胞分割がはっきりしない
- フラグメントが50%以上
- 細胞の変性が著明
- 透明帯の異常
フラグメントとは
フラグメントは、胚の細胞分割過程で生じる小さな細胞片のことです。
正常な発育過程でもある程度は生じますが、フラグメントが多いほどその後の発育不良に繋がります。
まとめ
Veeck分類は体外受精治療において重要な評価指標ですが、あくまで胚選択の一つの基準に過ぎません。
最終的な治療成功は、患者さんの年齢、子宮内膜の状態、ホルモン環境など様々な要因に左右されます。
評価結果に一喜一憂せず、医療チームと連携しながら、個々の状況に最適な治療方針を選択することが重要です。
不明な点があれば、遠慮なく担当医や胚培養士に質問し、納得のいく治療を受けましょう。